ここでの講習は、7月1日の「救急蘇生法講習会」に引き続き第2回目になり、今回は約20名が参加しました。
約20名の参加者 |
内容は、
・地震についてのDVD
・講話
・車椅子に乗って地震体験、暗闇避難体験
です。
子どもでも分かりやすく編集されたDVDを見た後、講師の渡部さんがさらに詳しく、これから30年以内(明日かもしれない)に70%~80%の確率で必ず起こる南海トラフ地震についてお話ししてくださいました。
東温市消防署員の渡部さん |
自助、共助、公助について。
自宅での備えとして「家具の固定」「ガラス飛散防止フィルムを貼る」「寝る場所に倒れてくるものがないか」など、一般的に言われていることについては再確認を。
その時、あなたはどこにいるでしょうか |
そして、特に今回はしげ特のために内容を考えてくださり、次のような、普段見過ごしがちな内容にも触れていただきました。
【車椅子関連として】
・車椅子の通れる幅の確保
・車椅子や歩行保護具は、被害を受けにくい場所に置き、暗闇でもわかるように発光シールなどを貼る。
・車椅子の空気圧、バッテリーの充電は常にチェック。
【避難に備えて】
・無理のない範囲で、周囲の人に障がいがあることを知っておいてもらう。
・避難訓練に参加し、経路、場所を確認。
・複数の避難経路
・自治体が発行する「避難行動要支援者名簿」に登録。
・ヘルプカードの活用
しげ特の子どもたちに関連したお話をして下さいました |
私も避難用として車椅子を1台玄関の外に置いているのですが、それが地震で転がった時に、外向きに開くドアが開かなくなることに気が付き、固定をしました。
普段そこに置いてあるものが「転がる」「転倒する」というのは盲点だったと思うので、この講習で気付けて良かったです。
講話に続いて、2班に分かれ、「車椅子に乗って地震体験」と「暗闇避難体験」を行いました。
【車椅子に乗って地震体験】
この床全体が動きます |
2人1組で起震装置の中に入って、1人は車椅子に乗り、もう1人が後ろから支える役割をしました。
車椅子で体験をするのは、実は署員さんにとっても初めてのことだそうです。
震度は・・・7。
「いいですか?今から揺らしますよ!?しっかり片手は手すりを持って、踏ん張って転ばないようにしてください。」
スイッチ、ON。
・・・最初は緩やかに床が動きますが、やがてガタガタガタガタッッ!!!と大きな揺れに。
ストッパーをかけている車椅子は、もう片方の手で押さえていても勝手に転がって右へ左へ。
押さえる方は、ただ必死に転ばないようにしているのがやっとでした。
車高の高いバギーなどは、転倒の恐れがあるかもしれません。
揺れている時間は、たったの15秒。
しかも、今回は横揺れだけで、縦の揺れはありません。
これが何の前ぶれもなく、縦揺れ・横揺れが複雑に襲ってくるばかりでなく、その何倍もの時間揺れ続けるとしたら・・・(東日本大震災では160秒間強い揺れが続いたという記述があります)、とっさに身構えて怪我をしないようにすることすら難しいのかもしれません。
けれど、「今、この時地震が来たら、自分はどう動くか」ということを頭の片隅でシミュレーションしておくだけで、ほんの数秒の、けれど貴重な余裕が生まれるかもしれません。
家に居る時、買い物をしている時、運転をしている時・・・時々思い出すことを習慣にしようと思います。
【暗闇避難体験】
3~4人ずつ、体験の部屋の中に入って行きます。
署員さんの説明を聞いています |
実は体験コースの入口には、ちゃんと「見取り図」が貼ってあり、じっくりとそれを覚える時間はありました。
見取り図とモニター。 中が完全な暗闇になっていることが分かります。 |
(心の声)『ふむふむ・・ここをまっすぐ進んで、突き当たったら右手にドアがあるから、そこを引いて・・・おや?奥まで行かなくても、入ってすぐ右側にドアがあるから出口はすぐそばにあるじゃないの。楽勝楽勝♪』
ところが、いざ中に入ると、最初のドアは鍵がかかっているようです。
入口のドアを閉めてしまえば、中は完全に真っ暗・・・
すぐ隣にいる人も、服の裾をつかまえていないとどこにいるのかすら分かりません。
左手で、左の壁をずっと伝いながら歩いていましたが、行き止まりに。
距離感がないので、覚えていたマップと自分の位置が一致しません。
ここにあるはずと思った場所にドアがなく、左手でドアノブに触れないか必死で探している間にも、奥からは「ドンドンドンッ!!シューシュー」という得体のしれない音がし続けています。(体験用とは言え、音だけでも怖い)
1人が「ここにドアがある!」と言いましたが、「ここ」の方向も分からず、幸い服の裾をつかんでいたのでそのままついて行くと、次の部屋へ。
ここでも、ドアはあるものの鍵がかかっていたり、内開き、外開きのドアが混じっているので、実は鍵はかかっていないのに開かないと勘違いしたり・・・
自分がどちらを向いているのか分からなくなりそうになった時、「あっちにドアの隙間が見える!」と1人が言い、無事に出口にたどり着くことができました。
署員さんのお話では、入口からまた出てきてしまう人も結構いるそうです。
それほど、この暗闇の中では方向感覚、距離感が失われてしまうのです。
これが、火災で煙が迫る中での避難だとしたら・・・冷静に判断することはできなくなってしまうと思います。
例えば旅先でホテルに泊まるような時、これまではとりあえず近くの階段や非常口を見るだけでしたが(部屋のドアの案内図をチラッと見るだけの時も)、これからは実際に「部屋からどちらに何歩」「ドアノブの高さはこのあたり」など、体で覚えておこうと思いました。
また、真っ暗な中でもスマホのバックライトで周囲の様子を確認できたり、別系統の電源の非常灯が点くので、それに従って避難することも覚えておいてくださいとのことでした。
非常灯の色の違いの意味、知っていますか? (白地は出口までの誘導、緑地は出口の場所) |
地震体験も、暗闇避難体験も、これまでどこかのイベントなどで見かけることはありましたが一度も体験したことはありませんでした。
「見るだけ」と「体験する」では大きな違いがありました。
講話での気付き、体験での気付き。
大変勉強になった講習会でした。
今回参加できなかった皆さんも、次回はぜひ「体験」をしてみて下さい。
確実に意識が変わると思います。
手配をしてもらった部委員のみなさん、ありがとうございます。
最後になりましたが、渡部さんはじめ、署員の皆様、貴重な体験をさせていただき、ありがとうございました。
今後ともどうぞよろしくお願い致します。